あたたかいパンとシチュー

「高所恐怖症パイロット?」

Heaven’s Feel III. spring song 感想メモ

Heaven's feel 第3章、見終わりました。ほんとよかった、ほんとよかったです………。

 

オープニングからクライマックス

毎回オープニングがカッコいいHFですが、第3章は、ベッドの上で倒れていた慎二の瞳を、そっと閉じる士郎のシーンからスタート。死んでしまった慎二の顔がとても美しく描かれていて、やっぱ慎二もヒロインだったんだなと思いました(ほんとね)。

続いて、衛宮邸に現れる桜のシーン。
「先輩は、私が守りますから。だって…私の方が、強いもの?」
ここの下屋さんの演技、最高です。特に「強いもの?」のところね!"酔ってる"桜が、妖しくて美しくて可愛くて…本当に素敵です。

 

オープニング・クレジットはもちろんカッコ良い梶浦ミュージックで。言峰の語りに乗せて、影絵で第2章までを振り返っていきます。
「客席からでは見えないものがあるというのなら…、私も、舞台に上がるとしよう」
いやあ、演出が本当に洒落ていますね。

この冒頭部分、時間にすると12分強しかないのですが、本当に完璧だと思いました。前回までの振り返りをしながら、ヒロインたち全員の顔出し。そして慎二の物語を幕引いておいて、言峰の物語をスタートさせる。
すごすぎです。完成度が高すぎです。

 

言峰編、始まってしまったか?

なんと言峰&士郎、共闘します。切嗣や桜の話を語り合う2人はなんだかやたら息があっていて…その理由は、ラストに回収されるのですが。
「衛宮。助けた者が女ならば殺すな。目の前で死なれるのは、なかなかに堪えるぞ?」
そしてこれ、名台詞では?
「では、衛宮士郎。登山の経験はあるかね?」
そしてこれ、アイカツでは??


続く、士郎vsバーサーカーのシーン。
黒化してもイリヤだけを見ているバーサーカー。「自分を置いて逃げて」と言うイリヤ。そしてイリヤをそっと抱きしめる士郎。
「兄貴は妹を助けるもんだ」
士郎…やっぱお前すごいよ…パーフェクトコミュニケーションだ……。
イリヤの瞳アップ。まつ毛の繊細な描写がうつくしい。

士郎、バーサーカーに対抗するため、アーチャーの腕を解放します。
向かい風、嵐の中をゆく士郎。そこでおなじみミュージック「EMIYA」のイントロが流れ始めます。
イントロは長め、アレンジはHFバージョン。ライブ特殊イントロみたいでガチであがりますね。

やがて、嵐の向こうに見えるエミヤの背中。
「……ついて来れるか」
さすが背中で語る男っ!

 

やっぱりイリヤの話していい?いいよ

なんとか帰還した士郎は、イリヤから聖杯戦争の「真実」を聞かされます。300年前、アインツベルン・遠坂・間桐の三家で目論んだ計画。
天の杯。ヘブンズフィール。魂を物質化する魔法…。
おお…さすが最終ルート・最終章といった感じですね。種明かし編です。

そしてやっぱり、HFはイリヤがすごい。この戦いが終わったら一緒に暮らさないかと言う士郎に対して…、イリヤ、指先で士郎の口を押さえて。悲しい目をして首を振って。イリヤ、自らの「先」がないことを…もうどうにもならないことを知っているからこそ…、これ以上士郎に話させたくない、聞きたくないのかな…。士郎も、イリヤも、辛くなってしまうから。

「士郎、しゃがんで」
しゃがむ士郎。小さな手のひらをひょこひょこ、と動かして、(もうちょっと)のジェスチャー
素直に、さらにしゃがんだ士郎の頭を…撫でて。
「いってらっしゃい、士郎」
お姉さんだ…イリヤはお姉さんだ…(感涙)。
言わずもがなこのシーンは、第二章冒頭のイリヤを思わせる演出になっていますよね。近いうちに訪れる別れを予感させられる、切ない一瞬です。

 

VSセイバーも語らないわけにはいかないじゃん

いかないじゃん!( ; ; )
大聖杯地下。セイバーオルタvsライダー+士郎のシーン。
「桜を助けるために、お前は…邪魔だ」
そんなこと…っ、そんなこと…っ。
いや分かるよ。これは本当に「邪魔」なんじゃなくて、士郎が、セイバーへの想いを断ち切るために、敢えて言った言葉だと思うよ。だけどもこう、アレじゃないですか。士郎とセイバーと言うのは…切っても切り離せないような…そういう…そういうのじゃないですか!!
でも、そんな甘いこと言ってたら、きっと桜は助けられない。そういうことなんだよね。


一方このシーンは、ライダーさん大活躍の一幕でございました。なかなか他ルートでは活躍を見られなかったからね…うれしいね。
肉体美、そして機動力。魔眼はもちろん、蹴り技でセイバーを圧倒していくのもカッコよかったです。
「士郎が気になりますか?動きませんよ。私は、信頼されていますので。…ああ。貴女は確かーー」
この煽りも最高。

そしてここ1番の宝具。セイバーのエクスカリバーに合わせて士郎、ローアイアスを展開(花弁は4枚)。2章でエミヤが見せたアレ、ですね。
攻撃を防ぐ士郎の後ろでライダーは準備。そして宝具・ベルレフォーン。これ、ヤシマ作戦だ!!!

とどめは、士郎の手で。セイバーの胸に剣を突き立てる。
……ここ、第二章ラストの、桜のシーンとの対比と言えるやもしれません。桜にはできなかったそれを、セイバーにはしたのですものね。

 

「あなたの辛さはあなたのもの」

桜vs凛のシーン。
桜に対峙した凛、宝石剣ゼルレッチを解放します。黒い影を操る桜を、まばゆい虹色の輝きで圧倒していく。カッコ良いけど、とても残酷なシーン。
桜は、才能こそあれど、ちゃんとした魔術の教育を受けられなかったんですね。だから、どんなに魔力量を持っていても、一度に出力できる量は頭打ちになってしまう。「ゼルレッチ」の名前も知らない。すごく切ない状況です。

思わず今までの辛さを吐露してしまう桜。
けれど、そんな桜に対する凛の返答は。

「だからどうしたっていうの?それ」

これ、すごくないですか。
「誰かがどんなにひどい日々を送ってきたとしても、その辛さは理解できない、だから理解しようとも、できるとも思わない。あなたの辛さはあなたのもの」…この考え方って、理解できるようで、けれど「どきり」と来るようで、だけど最も真摯であるようで。

似たようなところだと、直前の桜と言峰の会話でも、
「私がどれだけ苦しかったのか、知りもしないで!」
「知らんし、知る必要もない」
のような掛け合いがありますし、FGOプレイヤーとしては、エレシュキガルちゃんと藤丸のやりとりを思い出すシーンでもあります。もしかしたら、型月文脈では頻出なのかもしれません。

そしてもちろん、「あなたの辛さはあなたのもの」価値観は、けして憎悪や軽蔑から来るものではないのですね。
続くのは、桜にとどめを刺せない凛のシーン。
すべては、真摯な愛ゆえなのでした。

 

「桜を迎えに行く士郎」

ついに桜と対峙する士郎のシーン。ここは、3部作ならではの構造的なエモが光るすばらしいシーンでした。
桜の言葉に臆せず、桜へと歩みを止めない士郎。ここは言わずもがな、第2章の雨のシーンと被せていますよね。さらに第2章の当該シーンは、第1章ラストの雪のシーンとも被せていますから、全3章通して、「桜のもとに士郎が歩みゆく」構造を取り込んでいることになります。これが桜と士郎の核だと言うように。

 

そしてエモの追撃。
「私、いっぱい人を殺しました。それでも先輩は!生きていけっていうんですか!?」
「そうだ!当然だろ!奪ったからには、責任を果たせ!!」
『奪ったからには、責任を果たせ』…これを、士郎が言う重さ。かつての/今の聖杯戦争を生きのびた/生き残ってしまった2人のぶつかりあい。すごすぎです。
(さらにこのセリフを語りながらアーチャーの腕の封印を解くので、トリプルミーニングくらいになってそう)

士郎、ルールブレイカーを投影し、桜の胸に刺します。
圧倒的な構造エモを展開しながらも、その刺し方描写は非常にフェチズムを感じられるカットに。かつ「ルールブレイカーの投影」は第1章で士郎が目撃してるから可能…というロジカルぶりまで。隙がないです。

 

プリヤの世界線に行っていい?いいよ

いやもう、お腹いっぱいじゃないですか。
なのにHFはまだまだ盛ってくる。士郎の前に立ち塞がったのは、言峰綺礼さんでした。えっ何…? このひとずっと士郎のこと待ってたの…??

殴り合いバトルの中、2人は互いのことを理解し、認め、分かり合っていきます。
「自身に還る望みを持たぬお前と対極に位置する。だが、同質の願望だ!」
「…ああ、そうか。俺たちは、共に自身を罪人と思い、それを振り払うために、ひとつの生き方を貫き続けた」
この、最後は殴り合いでぶつかるほか無いだろ!って展開は、FGOの終章ゲーティア戦を思い出しました。というか逆か。もともとHF知っていた人は、「これ、HFでやったところだ!」てなってたんだろうな。

そして言峰に勝ち、ついにアンリマユを討とうとする士郎。その前に現れたのは、神々しい光をまとったイリヤでした。

ごめん…HFでいちばん心に残ったシーンはどこかって訊かれたら…ここなのだわ……。無理…イリヤ…どうして……。

「私は士郎のお姉ちゃんだもん。なら、弟を守らなくっちゃ」

いや涙腺崩壊…。すみません…ここは語るに落ちるというか…何も言葉が出ん……わたしはプリヤの世界線に行く………………。

 

それでも、手をとって

エンディング。真っ青の空、弓を引く桜。
第1章の名オープニングの再演。

桜のそばには凛がいて、2人は、手をとりあって世界を歩く。時の流れ、季節の巡り。凛のナレーションが胸に沁み入りますね。
そしてある雪の日。ふたりが出会った人形に、鳥籠のなかの「士郎の魂」が結びついて。
確実に変わったはずなのに、まるで何も変わらないように、士郎はいま、桜の隣にいる……と。

 

ここまでのシーンの、心に湧き上がる言葉にならない感情がすごい。これはなんなんだろう…。 桜と凛が並ぶ姿は喜ばしい。けれど士郎がいないということの、その壮絶な喪失感。「魔法」によって繋ぎ止められた士郎の魂、それを持って世界を歩く2人の、なんと切なくうつくしいことか。
そして、士郎が「蘇った」後の、「これでよかったのかな」感…いや、いいはずなんだよ…たしかに士郎は帰ってきたんだから…。
「ねえ。桜、幸せ?」
「……はい」
桜だって、笑っているんだから……。

 

複雑な感情を孕みながら、エンディングテーマ。

「それでも手をとって、隣に、佇んで」

冬木の街に響く、そんなワンフレーズ。
分からない、「ただしい」ことなんてわからないのですね。
いつだってきっと最善をしてきたけど、過去の傷も罪も、何も消えてはくれない。これは、「それでも……」と歌い出す、少女たちの物語。

やがて彼女たちは、あの夜に願った「お花見」へ。
かつて「暖かな幻想」だったものは、いま形を変えて現実になっていた。
「幸福」の前で、脚がすくむ桜。
やっぱり桜を迎えにきてくれる、士郎。
そして2人はもう逃げない。
交わらない対向車線をゆくのではなく、2人は並んで、その白線を乗り越えてーー。

 

総括…できるかーっっ!!!

無理すぎる。詰め込まれてるものが多すぎて、総括なんて無理すぎる!!!泣
このメモだって、だいぶはしょって書いたのだ。なのにこんな量。ほんとうは全シーン語れるところがあるような、そんな濃密な3部作だったのです。はーすごい。

ホントに面白かったので、これは本家ゲームもやらなきゃ嘘だろって気になってきました。レアルタ・ヌア版を…やるか……。

 

Heaven’s Feel Ⅱ.lost butterfly 感想メモ

引き続き、heaven's feelを見た感想を残しておきます。これは…神映画じゃあ……。

HFイリヤ最強説

ごめん、桜の映画だけども、何より先にイリヤの話をしたい。HFイリヤは最強。間違いない。本当の本当にかわいいのです。
「士郎に会いに来てあげたんだから。光栄に思いなさいっ!」
このカットのイリヤ、最強か…?

しかもHFイリヤはかわいいだけじゃないのだ。桜の件で悲しみに暮れる士郎の頭を…優しく撫でるシーンもある。
「士郎…泣きそう(なでなで)私は士郎の味方だもん」
これが…俗に言う「ママみ」なのですかね…はわ〜…。。。
そのほかバトルシーンでも、丸いお帽子が落ちないように、手で押さえながら走るカットがあったりと、異常に芸の細かい可愛さが存分に描かれています。ほんとうに何故イリヤ√が無いのか??

「俺は、桜だけの正義の味方になる」

印象的だったのは、他ルートには無い図書館の攻防シーンです。
卑劣な雰囲気で桜を人質にとる慎二。激昂する士郎。慎二を裏切るライダー。助太刀に入る凛&アーチャー。そして魔力を暴走させてしまう桜。三者三様の展開が集結する感じが、すごく印象的でした。

そしてここの慎二ね…辛いね…。1章から丁寧に積み重ねてきた「努力しても報われない」、「士郎に/桜に敵わない」描写が、このシーンで究極を迎えたように思います。ちなみに士郎が戦闘に使った「本」は、「社会と発達心理学 エリク・H・エリクソンより学ぶアイデンティティ(冬木大学社会学研究室)」。かの有名な、エリクソンの心理社会的発達理論を題材にした本のようです。この本を「強化」して身を守った士郎は、アイデンティティーーつまり、「自分が何者であるのか」を慎二に突きつけたと言えるでしょうか。慎二のライフはもうゼロよ!

自分の魔力を暴走させてしまった桜は、目の前で、士郎を傷つけてしまいます。そして、この後に続く桜と士郎のシーンが、ほんとうに素晴らしいのですね。

「あしたからは知らない人のふりをしようって。廊下で出会ってもすれ違うだけで、放課後も他人みたいに知らんふりして…ちゃんと1人で家に帰って…今までのことは忘れようって…でもできなかった!!」
桜の慟哭が心に迫ります。けれど士郎は、息を呑みながらも、桜に歩み寄る足を止めないのです。
「他の誰が許さなくても、俺が桜の代わりに桜を許し続ける」
そして決意を込めて、確かに言葉を語りかける。そんな士郎に対しての、桜の精いっぱいの切り返し。

「……わたし、処女じゃないんですよ」

…ここ。ここだよね。
これはね、文字面通りに受け取る話じゃないんだよね。だってこの局面で、処女かどうかなんて、本来どうでもいいことだと思うのですよ。だけど桜はなんとかして、「いかに自分が純粋なモノでないか」を語りたいんですね。そうでないと気が済まないんですね。「純粋でまっすぐな先輩の隣にいるべき存在じゃない」そう言いたいんですね。……どこかで、何かを期待しながら。

そんな自罰的な桜を、士郎は抱き締めて。
「俺が、桜を守るよ。俺は、桜だけの正義の味方になる」
そして桜の手を取る。
たいせつな鍵を、握り込ませるようにしながら。

な…な……、
なんだこれはーーーーーーーー!!!

士郎、パーフェクトコミュニケーションすぎんか??!!! すばらしい、すばらしすぎる…。言葉と体温、それに「鍵」という概念まで添えて…。

この一連のシーン、凛&アーチャーと対向車線ですれ違うシーンまで含めて、本当にすばらしい一幕と思いました。感服です。

濡場とホラーのジェットコースター

HF2章は、その性質からいわゆる「濡れ場」なシーンが多いです。しかもその全てに、すさまじい熱量…フェチズムが詰まっているので、まあリビングでは観られないタイプの映画になっているんですよね。
だけども、ただえっちなだけじゃない。そういうシーンには、決まってひとつまみの「不穏」が混ぜ込まれてるのがめちゃくちゃカッコいい。

例えば桜の自慰シーンの後。
画面中央には手を洗う桜。そして上手には、少し不自然な影が写り込んでいます。やがて、下手・画面外に去る桜。けれどその影は、桜と共に移動せず、止まったまま。「あれ…なんか不自然…」そう思わされたところで、すーーーっと下手へ動いて、消える……。
いや……こっっっっっわ。。。

続いて衛宮邸、桜の実質夜這いのシーン。
士郎の寝室の前に立つ桜の影が障子に映っているのですが、丸いフォルムが強調されていて、桜と例の「影」を重ねる演出になっています。怖い。士郎殺されてまうんじゃないかとすら思ってしまう。
どこか不穏さを孕んだまま、しっとりシーンへ。月明かりを受けて布団に落ちる、抱き合う2人の影法師。そして桜の影の方が…ノイズがかかったように…震えるんですね……。
「ーー大好きです、先輩」
士郎。桜の影から、目を背けます。
……見ないふり、してしまったね………。

男性陣も"カッコ良さでは"負けてない

HFは桜(と影)が強すぎなのですが、男性陣もカッコ良さでは負けてないと思うのですよね。
まずはエミヤんが「影」から凛を守るシーン。決死のローアイアス(花弁は7枚)、カッコいいですね…。
続く、気を失った凛の前髪をやさしく2度撫でるシーン。
「達者でな、遠坂」
うっ…やめろよっ…そういうの…っっ!
このルートでは、エミヤの正体に士郎と凛はたぶん気がついてないですよね…??それがまた、なんとも心にきますね…!

続いてギルくん。

「くうくうおなかが鳴りました!」
お姫様ドレスの桜、かわいらしい夢の中で「飴」を食べようとしてーー、
「精が出るな。だからあの時死んでおけと言ったのだ」
反転。飴だと思っていたそれは…実は人間の指でした……。のシーン。怖いけども、場面転換がやたらカッコ良すぎで声が出た。

続く、桜vsギルのバトルシーン。
不意に左足を切られたギル、ぐっと前のめりになり、地に手のひらをつきかけたところで、ぴたりと止まる。
「ーー我をひざまずかせようとは!!」
おお…王の矜持、王の威厳だあ…!ニクい演出。

さらにその後の「決着」の描写も素晴らしい。
「おお…よもや、そこまでーー」
動揺?感動?驚愕?見たことないタイプのギルの表情。そして。

「あーーむっ!」
桜、むしゃむしゃするポーズ。
カメラ、ぐぐーっと引き。すると、どでかい例の「影」が、画面奥のビルに映っている。手前には、血塗られた右脚だけが残っていて、ギルはいない。「つまり、この右足はまさか…?」の気づきを与えた後、「影」、さらに巨大化。その口らしきところから、金色の光が腹に落ちてゆく。ここで、「ギルが桜(の影)に食べられた」ことに確信させられる…という一連のシーン。あえて直接的な描写をしないところが粋なシーンです。控えめに言って天才の演出…。

やがてキラキラ夢の中

そして2章はクライマックスへ。イリヤや間桐爺の発言から、桜が「聖杯の門」であったことが明かされます。桜を通して、聖杯の中身(=「影」)が溢れ出してしまっていたらしいのですね。

桜は、きっとこの世界に災いを呼ぶもの。
それを士郎も、桜自身もわかってる。
……その上で。

「凍らせた心で、暖かな幻想をする」
士郎、包丁を手に取り、桜の寝室に赴いて。
月明かりが揺れるベッド。静かに眠る桜にーーそれを、振りかぶる。

……でも。

でも士郎はできないのです。
震える手、涙。士郎は桜を殺せなかった。

いいシーンです。士郎の想いが伝わる、本当に素晴らしいシーンなんです。

けどまだです。わたしは次のカットでとどめを刺されました。

桜の寝室を去る士郎。カメラはベッドの上。
…桜の瞳は開いていて。そして静かに、涙があふれて、落ちるのです。

ーー桜は、目覚めていたんですね…。
士郎が自分に包丁を向けたことも知っていて、でも士郎に殺されるなら構わないと、目を瞑っていたんですね。
けど士郎はそうしなかった。そんな士郎の悩み迷い葛藤、そして愛を、ぜんぶ静かに受け止めて、桜はそっと涙を流すのですね。

ああ、なんて、なんてうつくしいシーンなんだろう。ここで私は泣き声が出てしまいました。本当にすばらしく美しいシーンだと思います。

 

そしてこのシーンがあるからこそ、明朝のシーンもなおいっそう美しく思えます。
「ありがとうございます。先輩。たくさんのものを頂きました」
鍵を机に置いて、衛宮邸をあとにする桜。この気高さ。
桜は、「悲劇のヒロイン」ではないのです。


…なのに。慎二に襲われかけたことをきっかけに、桜は例の触手で慎二を殺してしまうんですね。冬木の民を「暴食」し、ギルの魂までも食べてしまった桜の聖杯は、もう十分に成熟していたということなんでしょう。桜は、人を、英雄を、殺せるのです。そしてもう、「我慢」もできなくなっていた。
絶望する桜に例の「影」がかぶさって、桜と「影」が一体化してーーそうして第二章は幕を閉じるのでした。

 

最後に。

「憐れみをください」
そんな言葉から始まるエンディングテーマ「I beg you」ですが、これはきっと、弱い少女の懇願ではないとおもうんですね。「憐れめるものなら憐れんでみよ」と。そんな挑発じみた趣がある。

 

桜という少女は不思議です。「弱くて繊細で臆病で、薄幸な少女」のような雰囲気を持っているのに、内面が多分そうじゃない。煮えたぎるような愛、情欲、渇望…そんな貪欲さが確かにある。きっと、勘違いされるんだろうなあ、「腹黒の女の子」「女の内面って怖い」…みたいに。

でもわたしは、桜の貪欲さって、「女だから…」みたいな性に依存した貪欲さじゃないと思うんだよね。桜の貪欲さはもっと、ヒトそのものに備わった渇望で…うまく言葉にできずくそダサい響きになってしまってごめんなのだけど、要は、「ガッツ」みたいなもんだと思うのですよ。

 

Heaven’s Feel Ⅰ.presage flower 感想メモ

初見オタクの感想メモです。めっちゃおもしろかった……。

 

最高の冒頭5分。このシーンだけで観る価値ある

第一章でいちばん好きなシーンはどこですか?と訊かれたら、きっと、「この冒頭5分だ」と答えると思う。それぐらい素晴らしいシーンでした。

「一年半前 夏」。
抜けるような青空に、白抜きの明朝体
蝉の声だけが響く弓道場。張り詰めた緊張感のなか、ただまっすぐに、弓を引く士郎。
その腕前に息を呑む部員たち。そして、ひとり拳を握り込む慎二。

…すごい!!桜との物語のはじまりを、高校1年夏の弓道場、士郎と慎二のエピソードから始めるという、この味わい深さ!

後に続く、「士郎が大会前なのにバイトで怪我をする」シーンも含めて、真っ直ぐゆえに無頓着な士郎と、繊細な慎二が、生き生きと描き出されているように思います。この冒頭は、多分慎二の方に共感しちゃうようにできてるし、士郎の「ちょっとした変さ」がさりげなく、でもたしかな違和感として残るようになってる。

 

シーン変わって、桜との出会いもいい。
夏の雨。ドアベルを鳴らしたのは、ずぶ濡れになった、ひどく暗く陰のある女の子。

「…間桐、桜です」

そして、雨の音とともに優しいタイトルコール。
題字は、いつもの凛としたフォントではなくて、手書きのやわらかな文字で。

Fate/stay night Heaven’s Feel
Ⅰ.presage flower


ーーなんかもう、すごすぎる。
ここまでで5分。この5分の完成度が高すぎる。

慎二と士郎のエピソード、桜と士郎の出会い。そのどちらもが繊細で繊細で…。そしてその繊細さを、いろいろな舞台装置と小道具を使いながら、丁寧に優しく、愛を持って描き出しているんですね。それがよく伝わる5分でした。

 

慎二&言峰との親愛度が高まってるけど大丈夫そ?

序盤。桜と士郎の穏やかな日々が描かれます。家事や勉強を桜に教える士郎は、プリヤ雪下の美遊兄とかぶって見えたけど、どちらかといえば、美遊兄がHF士郎のオマージュだったんだろうなあと今更ながら。

そして始まる聖杯戦争。他√との明らかな違いとして、「対バーサーカー戦で士郎が負傷した後、凛が士郎を家に送らない」があると思います。このことによって、士郎はライダー&慎二と遭遇し、しかもセイバーがライダーを圧倒してしまう…つまり、士郎と慎二の溝が深まってしまうことになるのです。(あれ、これもしや慎二√なのか??)
さらには、巻き込まれた綾子を教会に連れて行ったことで、言峰綺礼との親愛度も上がった気がするんですよね。なんだこのルート。
ただそのおかげで、言峰とセイバーから、10年前の聖杯戦争、そして衛宮切嗣の話を聞くことに成功します。なんの情報も無かったセイバー√と比べると、最序盤から士郎は情報を持ってるし、そのおかげでセイバーともよい主従関係を結べている。士郎の精神状態もかなり安定しているので、すごく安全・順調なルートにも見えるんですよね。

ギルくん「面白い。よくないものに魅入られているな」

……もしかしてそれ、桜の話してる…?

 

異常で異常でかわいい桜

聖杯戦争が始まっても、いや、始まったからこそなのかな、桜と士郎の仲は深まっていくことになります。慎二に殴られた桜を見て激昂する士郎のシーンとか、もうすごいですよね。士郎に感情がある!!てなる(あるよ)。
桜が倒れてしまったシーンもすっごいときめきシーンです。

「ここに泊まっていいって、どうしてですか? 私が…、心配だからですか」
「ああ、桜が心配だ」

ーーそしてぎゅっと手を握る、2人。
、わわ…???。これはFateなのか…??Fateだよ…そうか…これもFateなんだ…すごいぜFate…。

 

だけども、やっぱり桜ってかわいいだけのヒロインじゃないんだよね。

夜、例の土蔵に、半袖白ワンピース+サンダルで「お話よろしいですか?」と訪れるシーン。
この桜とても怖い…怖くない??? だって今2月よ、2月の冬なのですよ!?
そして、予告にもあった印象的なセリフが飛び出します。

「もし私が悪い人になったら許せませんか?」

…いやあ、この流れ。

やけに異常で…、怪しくて…、艶かしく…、そして味わい深いですね……(士郎は壊れたストーブを気にしていますが…これが主人公ぢからか…)。

その後も、「桜がベッドで苦しむ」→「街で異常なことが起きる」というカットがたくさん挿入されますので、「桜が何か良くないことを隠してる(自覚していなくても加担している)」ことが想像できる流れになってると思います。うまい脚本ですよね。

 

きしめん黒くらげが怖すぎる件

そんな桜の光と闇を味わっているうちに、キャスター陣営が落ちたり、真アサシンが登場したり、ランサーがめちゃバトったり、脱落したりと、聖杯戦争の勢力図は移ろっていきます。特にわたしが「ひえ〜〜」と思ったのは、キャスター陣営が落ちた次の朝の、「新都でまたガス漏れ」TV報道 → 台所に立つ桜のカットの流れです。だってね、SN/UBWまでしか知らないわたしは、「ガス漏れ=キャスター陣営の魂喰い」だという認識でいるんですよ。けど、この流れからすると、キャスターじゃない「誰か」が魂喰いをしていることになる。それは誰なのかーーまさか…???という。そういう連想と推理を誘発してくれる素晴らしい脚本でした。


そしていよいよ間桐爺さんとの対峙シーン。
見た目からして怪しすぎる間桐爺さんなので、きっと彼が桜を操って悪事を働いているんだろうと思っていましたが、そこで突如現れる謎の黒い生き物…いや、物体…? とにかくめっちゃ怖い「何か」…。きしめん状のくらげ…
Twitterで流れてくる、「世界で最も黒い物質の写真」てのがあるじゃないですか。まさにあれです。あれに呑まれて、削り取られるように消えるキャスターのシーン。そしてその「漆黒」に触れて発狂する士郎。怖すぎ。ほんと怖すぎ。

怖いんだけど、このシーンのセリフは重要ですよね。

凛「虚数…空間!?」
間桐爺さん「ありえん…!」

まず、あの「漆黒」が「虚数空間」である(につながってる)ことがわかります。かけだしFGOの民としては、先日イマジナリ・スクランブルを読んで、「虚数空間に触れたらやばいことになる」ってのは分かっていたので、うむうむ、という感じ。そして、桜の魔術が虚数属性であることは知っていたので、「やはり桜が…?」と疑念してしまうのですが、間桐爺もが驚いているんですねえ。間桐爺にも想定外の何かが起きてるんだ。

 

白い雪、白いサンダル。

第1章のラストバトルは、セイバーVSアサシン+黒い影/士郎VSお祖父様。
セイバーもランサーのように影に囚われてしまい、士郎は敗北してしまいます。…で、このシーンなんですけど。

満身創痍の士郎の元に、突如現れる「漆黒の何か」。

………こっわ泣泣

いやね、だってね、士郎が画面の左端から右に歩いていくと、後ろに黒い影が現れてるんですよ。
士郎が注視すると、静かな雪が降る音すら、一瞬シン…とかき消える画面の中央にポツンと存在する“それ”

……いや、めっっっっっちゃ和製ホラーだよ!!!!!! 夢に出てくるわ!!!

 

シーン変わって、雪が降り積もる冬木市
ボロボロの士郎。家の前では、桜が士郎の帰りを待っていた。

「ごめん。…それと、ただいま、桜」
「…はい、おかえりなさい、先輩」

このシーン。素晴らしくいいシーンです。重苦しい雪の景色もあいまって、すごくすごく印象的なのですが。……ここでも桜はサンダルなんだよね。
雪が降ってるのに。寒いのに。

「もっと自分を大事にしてください!」

懇願する桜。

やっぱり…、やっぱり何かが異常なんだよ……。だって、いくら心配でも、雪の日にサンダルで外には出ないよ…。
でもこれ、描写が変なんじゃなくて、多分、多分だけど…桜にとって、「足が冷たいなあ」とか、本当の本当にどうでもいいことなんだろうな……。当たり前の常識とか、自らの身体とか、本当の本当にどうでもよくて、ただ士郎のことが心配なんだよね。「もっと自分を大事にしてください!」てのは、本当は桜にも向けられるべきセリフなのに。


ーーというところで第1章は終了。たくさんの謎を残したまま、第2章へと進むのでした。

ギルくん&えるちゃんと絆10になれたはなし


11月22日、本日。
ギルくんとえるちゃんの絆レベルが、同時に10になりました!!!!!!!やった!!!!!!!


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フィニッシュはもちろん第七特異点にて。「黒い杉の森・魔獣の住処」に行きましたよ(シャルルとスカディさんが引率しました。いつもありがとう)。

しかし、うーんなんとも感慨深い。ここまで長い長い道のりでございました。いい機会なので、2人との思い出をちょっと振り返ろうかなと思います。

 

星5交換は悩んでる時がいちばんおもしろい説

2022年。周囲のひとたちに「やめておけ…今からFGOはやめておけ…」などと言われながら始めたFGO。わたしにとってはこれが初めての「Fate」でした。

とにかくストーリーがおもしろくて、空いてる時間はひたすら本編を進めました。始めてから2か月後の3月13日には第3異聞帯・シンをクリア。次はユガ・クシェートラだぞってところで……、そろそろ決めようかなと、思ったんですよね。「星5サーヴァント交換、誰にするか問題」を

当時わたしのカルデアには、我が王オジマンディアスさんしか星5鯖はいらっしゃいませんでした。だからもう、攻略サイトの交換リスト見て、ホントのホントに悩んだんですよね。


「やっぱりアルトリアかな…この玉藻ちゃんって子もかわいいな…ストーリーでドレイクさんにお世話になったよな…でもみんな孔明先生にしとけって言う…」

 

悩んで悩んで…。けどどうしても、気になってしまう子がいたんです。それがエルキドゥでした。

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運命は池袋サンシャインシティ文化会館ビル7Fにあった

いや、バビロニアを読んだ時は、そこまで、だったんですよね。ストーリーには本当に感動したけど、結局エルキドゥ…というかキングゥのことは、よく分からなかったから。
だけど、なぜか気になる。惹かれる。フレンド欄に出てきたら借りてしまう。「この子は一体なんなんだろう」

そんな折、家近の池袋に、古代オリエント博物館」というミュージアムがあることを知りました。
どういう経緯だったかは忘れてしまったけど、とにかく3月19日、わたしは妹と博物館に行ったんです。そしてその流れで、同博物館館長の月本先生訳「ギルガメシュ叙事詩」の朗読CDを買ったんです。これがわたしの運命を狂わせた。

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あのね、ほんとうにすばらしいCDだったんですよ。自分でもわけがわからんくらい、それを聞いて泣いてしまったんです。
なんかね、本当に衝撃だったんですよね。「ギルガメシュ叙事詩」という物語と、「エンキドゥ」という存在が。
そして同時に、この物語のことを「もっと知りたい」と思うようになって。そしてもう当たり前のように、「星5サーヴァント交換問題」には決着がついてしまったのです。

 

英雄王がみてる

けど、「よし即交換!」とはなれなかったんだよね。なんかさ…、エルキドゥを幸せにできる自信が、なくて……(???)。

いや、だってね。わたしはど初心者のマスターだし、カルデアの戦力だって、オジマンディアスさんが来てくれてようやっと保ってるみたいな状況だったし、その上メソポタミア仲間は誰もいなかったし……。これで喚んでも「えっ…」てなっちゃわないかなって……「使い潰しておくれ(悲壮)」てなるじゃんか……(泣)それはやだ……。

 

わたしは弱いマスター……わたしでは、エルキドゥを笑顔にできない…エルキドゥには…しあわせでいてほしいのに……。どうすれば……、どうすれば……エルキドゥはしあわせに…。

 

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\「バトル・イン・ニューヨーク 2022 ギルガメッシュ(アーチャー)ピックアップ召喚」!/

 

?!??!?!?!

 

これだーーーーーっ!!!!

つまりこうです、まずはガチャでギルくんを喚ぶわけです。そしてギルくんに事情を話したうえで、星5交換でエルキドゥを喚ぶのです。えっそういうこと? 完璧じゃん。
ギルくんもまあまあ怖そうだけど、話せば分かってくれそうだし、やっぱり、友達ってのはいた方がいいなって思ってくれるんじゃないかな!!!

 

かな!!!

な!!!

 

ーーギルくん、天井だったんですよね。

 

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ほんとだよ!!!!!!!(ありがとう)


かくして、2人そろって3月27日に、カルデアに来てもらうことになったというわけでした。これギルくん全部分かってやってない?
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そして季節はめぐって。(strange fakeをみよう!)

それから色々ありましたね。
ユガに行って、アトランティス・オリュンポスに行って。一緒にアヴァロンを歩いてトラオムに迷い込んで。

勢いで静岡にギルガメシュ叙事詩のお芝居を見に行ったり、勢いでギルガメシュ叙事詩を読んだりもしました。

そして季節は巡り、第7異聞帯到達を目前にした今日、11月22日。……こんな風にね。

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大事な礼装を頂けました。

 

エルキドゥの考え方、前よりはわかった気がするし、ギルくんとの付き合い方もわかってきた気がします(ギルくんには召喚時にめちゃくそ無礼をはたらいてしまったので平謝り…)。

とにかく、2人ともと仲良くなれて、わたしはとてもうれしいですよ。

年末には、アニメの出演も決まってるらしいじゃないですか。
まだまだ大忙しのようですが、風邪などひかないように。なんてったってふたりとも薄着だし、ひどい無茶をしでかしそうだからね!

 

◎思い出ばなしを貼るコーナー

▼静岡にギルガメシュ叙事詩のお芝居観に行って、ゲストハウスのベッドの中で書いた記事。静岡、いい街だった

atticstreet.hatenablog.com

 

バビロニアの感想。カッコいいストーリーですわ

atticstreet.hatenablog.com

 

ギルガメシュ叙事詩をちゃんと読んでみようと頑張った記事。がんばった

atticstreet.hatenablog.com

 

概念礼装をレベル100にしました(初達成)

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めっちゃ…大変だったね…😭😭

以前から、なけなしのフレンドポイントで地道に「レベル19の星1礼装」を作っていたのですが、今回の箱イベで一気に進みました。慢性的なQP不足問題も解決したので、自陣の強化が進む進む。箱イベってすごいなあ。

 

カレスコや黒聖杯の凸を持っていないので、まずはクランクインをば。ATK型礼装なら、素のATKが+2000になるんだもんね。金フォウマと同等水準だと考えれば、これは凄いことです。

 

しかしこのレベル上げ、やっぱり今の時代的には合ってないしんどさだよね。必要な経験値数が膨大ってのももちろんあるけど、QP量が半端ないんです。そしてこれを節約しようとすると、すこし複雑な混ぜ方をしなければいけないんですね(複雑なので割愛)
わたしは「アイドルマスターsideMMobage版)と同じじゃん!!!」と思い、するっと理解できましたが、最近のスマホゲーにはあまり無いシステムだと思うのでね…。
でも変えるとすると、既存プレイヤーに補填はする?しない?みたいな話になりそうで、とてもめんどうそうです。

 

まあ、終わったので良し!ということで。カレスコ黒聖杯も、いずれ凸できるといいなー。

思索の水底

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前エントリの計画通り、事がはこびました。

うれしいねえ。

 

……ここからはわたしのはなし。

 

 

明言するのは初めてだったかな、今年の6月に腎臓がんが見つかった。がんはとても大きくなっていた。

8月に、右腎ごとの摘出手術。昨日、手術後はじめての検査にいってきた。

手術は成功していて、がん自体はちゃんと取れてたことがわかったけど、血液検査の調子が良くなくて、また別の臓器を検査することになっちゃった。

 

人生の過酷さと残酷さを感じてしまう。人の命、人の力には限りがあって、健康と幸福は当たり前にあるものではないのでした。

 

しかし、身体をむしばむがんは、すなわち「わたし」。心を苦しめる自責の感情も、また「わたし」。世界を憎悪しているようで、その実わたしは、わたし自身に刃を向けようとしているのです。

 

…久しぶりにマイルームでみんなと話したけれど、王様は、永遠に損なわれない肉体が欲しいんだそうだ。わたしは、せめて永遠に損なわれない精神が欲しいな。

……なんて。

 

"けして損なわれない、完全と永遠"。

「そんな夢物語の理想を、いまだ捨てられないのですね」と、半ば自虐的に言う。思う。けれど、祈るだけなら許されたい。

深い深い、思索の水底で、わたしはいまも、遠い熱砂の海を想っている。

 

…けれど別の話も。

病気の前後でまるで世界は一変して、人生は分断され、過去のわたしと今のわたしは外見だけ同じの別物になってしまったような日々だったのです。

だけど思い出しました。まだ病気になるなんて知らなかった頃、アヴァロンルフェを読んだわたしは、いつか必ずトリスタンをお迎えして、ありがとうを言おうと思ったのでした。

その約束が昨日、叶って。その約束を思い出して。ああ、時間はちゃんと連続していて、過去の想いは消えることはなく、たしかにわたしのもとに帰ってきたんだなと思ったのです。うれしいことです。

 

 

王様とは、理想と渇望を共有しているように思うけど、トリスタンとは、連続性の幸福を共有することができました。そんなピックでした。

…いや、共有できましたなんて書いてるけど、その実わたしの「実感」なのだけどね。けれど、どちらも確かに、わたしの「実感」なのだから、それはそれでいいよね。

 

「人の生は労苦で、大地の下にこそやすらぎが多いのだ」と。ああ、きっとそうなのだろうけど、まだ何もあきらめられず、けれどうつくしい何かでありたい。ありたいなあ。