あたたかいパンとシチュー

「重いとも。そしてその重さを楽しめ、雑種」

母の愛、女の意地。(エルザ&アーラシュペア)

『おい嬢ちゃん!こっちに…えーと…』
『生大ジョッキ』
『"生大ジョッキ"もうひとつ!』
『って待って待って!……っはー!ジョッキおかわり、こっちにもねーっ!』

https://youtu.be/wMjbwBKQbaw
(—1991 夜の秋葉原と新自動改札口)

蒼銀のフラグメンツ、各陣営を追いかけるシリーズ第一弾は、アーチャー陣営・エルザ&アーラシュペアから始めようと思います。…この2人からしか得られない栄養が、あるんですわ………。


◆◇◆

エルザ・西条。
歳は30歳の直前。日独ハーフの快活な女性。彼女がアーラシュのマスターです。
聖杯にかけるは「すべての母子が救われる世界」。どこかアタランテを彷彿とさせるその願いが、かつて古代ペルシャにて平和を成したアーラシュを呼び寄せた。なるほど納得だ。

「正義」、「王道」。
まさにそんな言葉が似合う2人だけれど、時に秋葉原の居酒屋でジョッキを交わしたり、時に軽口でからかってみたりもする。ついでに奥多摩までバイクでツーリングしたりする。スチルもある(スチル???)。

つまり青春。
こんなみずみずしいFateを見られるのは(きっと)蒼銀アーチャー陣営だけ!!!

◆◇◆

けれど、エルザという人間には、もう一つの側面がある。
それが「母」としてのエルザ。
彼女には、死に別れた息子がいる。

『心の奥底に隠してしまったはずの笑顔。(略)聖杯戦争の最中には思い出すまいと決めていた大切なもの。最愛の相手。あの子。(略)心の傷。それこそが、願いと欲望の源だった』

エルザのほんとうの願いは、きっと「すべての母子の救済」じゃない。「息子と、息子を失ったわが心の救済」だったんだと思う。エルザは、それを見ないフリをしていた。仕舞い込んでいた。だからそれが隙になって、愛歌に認識を歪まされてしまう。愛歌のことを「聖杯戦争に巻き込まれた息子」だと誤認するように、操作されてしまうのだ。ひどい。ひどいよ。。こんなのってないよ。。。

最終的には、「アーチャーの宝具を解放するように」愛歌に仕向けられてしまいます。
「流星一条」の解放。
つまりは、そういうことだよね。

◆◇◆

そんなエルザの心の揺らめきに、千里眼もちのアーラシュは気づいていました。けれどアーラシュは…本当に人格者なので…心を不要にのぞいたり、踏み込んだりしなかった。エルザの決断を静かに待ち、今を生きる人間であるエルザを尊重し、宝具を放ちます。
この辺がね、すげ〜渋くて、とても良いです。

アーラシュは本当の本当に人格者なので、他のサーヴァント達にも色々と気を遣って立ち回ってくれます。
てかね、FGOのマイルーム台詞とか蒼銀勢の幕間読むと分かるんだけども、アーラシュくんはみんなのメンタルケアばっかりしてくれてるんですよ。ほんといつもありがとうね…。

◆◇◆

だけど。アーチャーペアの真価はここからなんですよ。

アーラシュが倒れ、生き残ってしまったエルザは、愛歌の支配を振り切り、行動に出ます。
それは愛歌の野望を阻止するための一手。
愛歌が隠す大聖杯の位置をアーサー達に伝えるのです。
そしてそれは、かつてアーラシュが千里眼で「視た」モノでした。

『馬鹿にされたものね。無力な女と笑っているんでしょう。実際、ええ。魔術師としては無力なのだから。(略)
でも。魔術師としてではないこのあたし。エルザ・西条。
世界を歩いて、歩いて。擦れに擦れて散々世慣れた女が何をするか。ーー見てなさい』

エルザ姉さま〜〜( ; ; )( ; ; )
いや。ほんと良いセリフだよ。魔術師でもなく。母でもなく。ひとりの女の意地でもって、文字通りに「一矢報いる」と…………最高です。
しかもこのシーン、ドラマCD化するにあたり、追加されたシーンなんですよね。つまり、桜井先生が改めてシナリオを再編するにあたってエルザのラストとして書き足してくれたということです。エルザのコアだということです。

2人、星夜の東京を駆けた聖杯戦争
見て見ぬ振りをした傷、遺された愛に苦しむ母。
静かに心に寄り添って、主の選択を待ったサーヴァント。
そして、ひとりの女の意地。

たしかに負けはしたけれども、とっても愛おしいアーチャー陣営です。

◆◇◆

ちなみに。
エルザ達の拠点は、なんとお茶の水山の上ホテルの403号室スイートでした。
https://www.yamanoue-hotel.co.jp/stay/room/403.php

2022年の値段で、一泊66,550円。
聖杯戦争中、最低でも16泊してますので、1,064,800円…って、そ、それまじ〜〜〜!??!?!