ギルガメシュ叙事詩を読む(5):エンキドゥは何故フンババを殺したか
(!)これは研究メモの類ではなくて、フェイトのおたくによる「感想文」です>< 原文や諸海外訳は読めていないのでごめんなさい…。なお、標準バビロニア語によって書かれた、全12の書板からなるバージョン(=「標準版」)をベースに読んでいます。
<第五の書板>
杉の森に到着、フンババ退治
エンキドゥはなぜフンババ殺しに至ったか
第五の書板に描かれるのは、叙事詩前半のクライマックス、フンババとの対決シーン。
戦闘シーンが続くたいへん「華がある」一幕なのですが、謎が多いシーンでもあると感じます。フンババ、そしてエンキドゥの行動が、なんか謎なのです。
そもそもフンババとは、元々はシュメル語伝承の「ギルガメシュとフワワ」に登場していた存在であり、神エンリルによって定められた「香柏の森の守護者」でした。ギルガメシュ達との激しい戦闘の末に劣勢になったフンババは、エンキドゥに説得を、ギルガメシュに命乞いをします。しかし、エンキドゥはその一切を取り合わないのです。その上、
彼を搾り上げよ。彼を撃ち殺せ。彼を粉々にして、抹殺せよ。
などと、きつくギルガメシュに唆す場面まである(月本先生訳・標準版)。…えっ、怖くない???
これ、第四の書板の時とはちょっと状況が違うように思います。旅の最中でギルガメシュの夢解きをするエンキドゥは、なんというか、「励まし合いながら、友と征く旅路」…のような趣があるのですが、第五の書板のエンキドゥはもっと強烈で、ギルガメシュに「早く殺せ!」と急かしているような風すらあるのですね。
その「急かす」理由ですが、こういうセリフがあります。
(フンババを)…抹殺せよ。神々の第一人者エンリルがそれを聞く前に、
偉大な神々がわれらに対する憤激に満ちる前に。
つまり、「フンババ殺しがエンリルにバレて怒られる前に、殺してしまおう」と。そういう都合なんでしょう。フンババはエンリルのしもべですから、フンババを殺したら確かにエンリルの逆鱗に触れそうです。また、エンリルがエンキドゥの個人的な守護神であることをふまえると、エンキドゥは、自らの神に逆らってまでフンババ殺しを決行していることになります。単に「名をあげたい」と思っているギルガメシュに対し、エンキドゥは様々なリスクを意識し、抱え込んでいるように見えるのですが…。それでも彼がフンババを殺すに至る理由とは、いったいなんなんだろうか?
さらに時事ネタ?として、2014年にこの第五書板の新文書が公開され、今まで欠落していた部分が読めるようになりました。当時SNSでは、「エンキドゥとフンババは旧知の仲だった」という話が拡散されたらしいのですが、それは本当の本当なんだろうか? もしも本当ならば、なおさらどうしてエンキドゥは、フンババを殺すに至ったのだろうか…??
その謎を解明するべく、我々はレバノンの山地に向……かわずに、当該論文を読む羽目になりました(はい)。
長くなったのでいったんエントリを分けます!
おまけ:FGOでのエルキドゥとフワワ
僕の、最初の友達さ。……いや、僕の育ての親と言ってもいい。
エルキドゥの幕間「神が造り、人が紡ぎ、土に還る Ⅱ」にて、エルキドゥはフワワをこう紹介します。つまり、「2人(?)は旧知の仲である」という設定が取り入れられてるんですね。
また、FGO設定のフワワは「古の神々によって、2891の(子供の)魂から生み出された『完全な人間』」なんだそうです。かつてのエルキドゥとギルガメッシュは、彼女たちを解放するためにフワワを殺そうとしたらしいのですが、結局殺しきれず、長く苦しめることになってしまった…というエピソードも語られます。杉の森遠征の理由として、「フワワを神々の“呪い”から解放する」という理由が付け加えられてるんですね。良アレンジだと思います。
なお幕間のエルキドゥは、フワワをなんとかして救いたがっていて、最終的には自らを、「(それがたとえ神であっても、)あらゆる脅威から人類を守る者」と再定義することになるのでした。
かくして「人類の脅威」特攻を得たエルキドゥが、第2部の「空想樹伐採」で大活躍するなどとは、正統と呼ぶか、皮肉と呼ぶか、なんとも難しいところです。
↑これはインドで空想樹を伐ったエルキドゥ。
↑これはギリシアで神をはったおすエルキドゥ。
…ところでこの幕間、めちゃくちゃ気合が入っていて最高なんですよね。
バーサーカー霊基の匂わせがあったり。
こういうホラーな展開があったり。怖いってば!!!
Starry Heavens
種火半額キャンペーンが来てからずっと考えていたのですが…、
カーマちゃんに…、聖杯をあげたい……!
…
…
やってしまった…!!!
……カーマちゃんとの出会いはつい先日の福袋。アポクリファで好きになったセミラミスちゃん狙いで引いたアサシン袋から来てくれたんですよね。入院前日の出来事でした。当時はまだ大奥をやってなかったのでカーマちゃんのことをあまり知らなくて…、「なんかすごくえっちな子」だと思ってました(直球)。
そのあと育てる暇なく入院して。退院した先日、やっと大奥をクリアして。そして、カーマちゃんがどういう子なのか…を知りました。
「なんかすごくえっちな子」っていうのも、間違ってはないんだけど、うーん…それだけじゃないんだよね。
わたしには、神様の事情はわからないけどさ…。与えられた役割があって、他の誰かに尽くす役割があって、だから求められるまま“そうした”のに、なぜか、切り捨てられて。「正しさ」の暴力に身を灼かれる、痛みと惨めさがある。
けれど愛の女神が「獣」になれてーーそれは格好いいことでも哀しいことでもあるけどーー、それなのに、カルデアに、人理の「正しさ」に負けてしまって。しかも、「先輩の獣」のちょっかいで、カルデアに「後輩の獣」として召喚されてしまう始末。
…なんか、放っとけないじゃないですか。他人事じゃないって、なぜか思っちゃうんだよ。
まあ、そんなことを言ったらカーマちゃんは「そういう私がお好みなんですか〜?」って流してきそうだけど…でもそれでもいいや。
さすがは『全ての人間への愛』を持ちながら、『自分への愛』だけは持ち合わせない方。
こんな風にキアラさんが言ってた。
たった一つだけ愛せないものがあります。理由なんてありません。知っているだけですよ。それがどうしようもなく性格が悪く、面倒臭く、マイナス思考で、絶望になじみすぎて……愛されるはずがない存在だってこと。
自分でもこういうこと言ってた。…だからあげちゃいました、聖杯5つ。そんなこと言うなよって。
それに、ちょう純粋にかわいいんだもん。
こういうポンコツめいたとこもいいし、
幕間で私がいちばん好きなやつやってくれるのもいい(またこれやろう!)。
そもそも大奥のストーリーも好きだし、テーマ曲の「深淵のデカダンス」も好きだ!
そして、こういう痛いとこついてくるところも!( ; ; )これからもよろしくね!( ; ; )
ギルガメシュ叙事詩を読む(4):「死を賭しても」と鼓舞しては
引続き、ギルガメシュ叙事詩・第三・四の書板を読んでいきます。
(!)これは研究メモの類ではなくて、フェイトのおたくによる「感想文」です>< 原文や諸海外訳は読めていないのでごめんなさい…。なお、標準バビロニア語によって書かれた、全12の書板からなるバージョン(=「標準版」)をベースに読んでいます。
<第三の書板>
香柏の森への遠征決定〜母ニンスンの祈り
<第四の書板>
香柏の森へ向かうギルガメシュとエンキドゥ
友の夢を解く
第四の書板で印象的なのは、やはり「エンキドゥの夢解き」だと思います。森へ向かう最中、ギルガメシュは4回も夢を見、その不思議さに動揺するのですが、エンキドゥは都度都度彼の夢を解釈し、ギルガメシュを励ますのです。夢の内容と解釈はざっくりこんな感じ。
夢①:山が自分のもとに蠅のように落ちてきた…。
→山とはフンババのこと。フンババの屍を、夜の底へ、蠅のように投げ込もう。
夢②:山が自分の足を掴んで投げつけたが、美しい男が自分を救い出してくれた…。
→山とはフンババ、美しい男とはシャマシュのこと。勝利のしるしの夢だから、早く出立しよう。
夢③:静寂と暗闇の中で稲妻が鳴り、火炎が燃え上がった!
→すぐにフンババとの戦いが起こるが、シャマシュの威光を見るだろう。
夢④:恐ろしいアンズー(怪鳥)が飛んでいたが、1人の若者がそれを捕らえ、地に投げつけた!
→その若者は守護神シャマシュだろう。
なんというか…、エンキドゥ、すごく律儀で甲斐甲斐しくて、いいやつだなあと思います。ほんといいやつだよ。
ところで古代メソポタミアでは、夢によって神からお告げがくだる、夢で占いができるというのは、すごくメジャーな考え方だったようです。夢文書の歴史は、新シュメル時代のグデア円筒碑文にまで遡り、その後も多くの夢占い文書が作られました。後代のアッシリア時代には様々な夢解釈を集めた書物まで編まれたそうですよ。
…1記事あたり1つくらいはFateの話をねじ込みたい。というわけでバビロニアを漁ってみましたが、そういえばこういうシーンがありました。
冥界からウルクに帰る際、その途中のクタで“先を視た”…(中略)…天命とは神から降りるものだが、我(オレ)の場合は千里眼によるものだ。ふと、自分に関わりのない『未来』を知り、それを無意識に記録する事がある。
キャスギルの場合はちょっと特殊ですけど、近しいものなのかもと思いました。
余談ですが、このシーンで出てくる「天命の粘土板」とは、古代メソポタミアの創世神話『エヌマ・エリシュ』にて語られる、ティアマトがキングゥに与えた権力のしるし「天命の書板」を意識していると思われます。
というかそもそも7章バビロニアは、全体を通して「エヌマ・エリシュ」の語り直しのような構造があり、私はそれがすごくおしゃれだなあと思うんですね。
第5節でロマニが口がするこの言葉がまさにこの神話の語りだしだと気づいた時、「うわ、うわ〜っ…」てなりました。この、サラッと出してくる感じ、かっこいいですよね。
さらに余談ですが、我らが古代オリエント博物館様が「エヌマ・エリシュ」の朗読CDをね、出してくれてるんですね。しかも関さんの朗読ですよ。はあ、やられました。しかもしかもCDに付属している台本冊子は「現在で国内で入手できるエヌマ・エリシュの本格的な日本語訳としてはほぼ唯一のもの」なんだとか。はあ…さすがです…。
【追記:天命の粘土板について】キャスギルの絆礼装を確認したところ、「エヌマ・エリシュ」というより「アンズー神話」を意識しての登場だったと思われます。至上神エンリルの持つ「天命の書板」を持ち去ってしまったアンズー(ライオンの頭を持った鷲。シュメール語ではイムドゥグド)を、戦いの神ニヌルタが撃破した…というお話。日本語訳が「古代オリエント集 1」におさめられているのですが、既に絶版で高額になっています…。図書館に行かないとですね。なお一部は「シュメール神話集成」として最近まとめられ、安価で手に取ることができます。Kindleでも読めます。)
死を賭しても、恥なきことを
夢解きを通じてギルガメシュを励ますエンキドゥですが、彼の鼓舞は珠玉の名言の連続でした。
われらは共にことをなそうではないか。一つのことを行おう、死を賭しても、恥なきことを。
2人が力を合わせれば、二つが、三重の力になる。三つ縒りの綱は切れない。
戦いがあなたの心を燃やすように。死をものともせず、この生を生きよ。
ひとつ目が古バビロニア版、あとが「ラピス・ラズリ版」からの抜粋です。月本先生の日本語の美しさの力も多分にありますが、ああ、この言葉の素晴らしさたるや!鳥肌が立ってしまいます。二つ目の台詞については、旧約聖書「コヘレトの言葉・4章」との類似性も指摘されていました。手元にある新共同訳をひらきますと、「ひとりよりもふたりが良い。共に労苦すれば、その報いは良い。(略)三つよりの糸は切れにくい」…ここですね。わたしは信仰らしい信仰を持っていないのですが、「コヘレトの言葉」は読み物として、心にくるものがあるなと思っています。
話を戻してエンキドゥですが、元々彼は、フンババ退治に反対だったのですよね。いざ、ギルガメシュの熱望に押されて旅立ってみれば、ギルガメシュはフンババを怖がり始める。エンキドゥからすると、「だから言ったじゃん!フンババやばいって言ったじゃん!」て感じだと思うんですよ。 けど、「じゃあ引き返そう」とはならないんですね。結局エンキドゥはギルガメシュを励ましてしまう。
これがどうしてなのかしら…の答えは、本文中に書かれてないのだけど。やっぱり、はじめての友との旅が、楽しかったからじゃないかな…と思ったりするのです。荒野で生まれ、人間らしさを知り、真っ向からぶつかって芽生えた友情。「とこしえまでもわが名をあげたい」と語る、はじめての友との旅が楽しくて、友の力になりたいと思ったからじゃないかな…と。もちろんこれに正解は無く、ただ、わたしの想像なのだけど。そうだったらすごく“人間くさくて”、いいなと思うのです。
第三・四の書板はここまで。次はいよいよフンババ戦ですね。
ロードトゥユガで成長を感じた話
先日始まったRoad To 7 のユガ回。そのリコレクションクエストのアルジュナオルタ戦を、ノーコンノー令呪でクリアすることができました! やったあ!
実はみんなふつーに出来ているのかもだけど、当時(実は5ヶ月前くらい)は2回くらいコンテしてた気がするので…すごい、自分的な成長を感じましたのです。
パーティはこんな感じ。
1〜3T:マシュに守ってもらう
4〜5T:ゲオルに守ってもらう
6T:アルジュナ無敵貫通宝具でカルナ以外落ち
7〜8T:残1ゲージをカルナ単騎突破
のような流れでした。王様が宝具+カード2枚で、綺麗に1ゲージ持ってってくれるのに感動しましたよ。光り輝く推しって、やっぱり嬉しいです。いや、宝具名的な話ではなくて!笑
…思えば、FGOのシナリオで最初にぼろぼろ泣いたのはユガだったと記憶しています。
確か、今年1月になんとなく始めて、普通に楽しいな〜って読み進めて。3月末、ユガに到達して泣いて、4月頭にクリア…みたいな流れだった。ジナコちゃんのとことか、カルナvsアルジュナのとことか、最後、礼装もらうまでの流れとかで本当に泣いて、「あっ、FGOっておもしろいわ」って実感してしまったんだよね。ホワイトデーPUで王様に出会ったり、星5交換でエルキドゥに来てもらったりしてたのもこの頃で…要するに“ハマった”んだと思います、この時期に!
なんだか遠くまで来てしまったけど、これからもみんなよろしくね!
追伸。Road To 7・ユガの特番、すごくすごくよかったです。製作陣に愛・熱意ある人がいらっしゃる、しかもそれが我々に見えるというのは、本当にありがたいことだなと思います。安心して作品を愛していられるから…!
ギルガメシュ叙事詩を読む(3):杉の森とシュメルの都市たち
(!)これは研究メモの類ではなくて、フェイトのおたくによる「感想文」です>< 原文や諸海外訳は読めていないのでごめんなさい…。なお、標準バビロニア語によって書かれた、全12の書板からなるバージョン(=「標準版」)をベースに読んでいます。
<第三の書板>
香柏の森への遠征決定〜母ニンスンの祈り
<第四の書板>
香柏の森へ向かうギルガメシュとエンキドゥ
『白峰の 雲海遥か 杉の山』
「香柏の森」とは月本先生訳に依りますが、香りよい木々が繁る森のこと。第五の書板に出てくる「シララとレバノン」という地名から、一般にレバノン杉と考えられているようです。「シララ」とは、ハーモン山もしくはアンチレバノン山脈のことらしいのですが、どこ??って感じだったので、google mapさんを召喚します。ついでにウルクからの距離も測ってみると…。
いやめちゃめちゃ遠っ!? 直線距離で900km以上ありますが…。
じっさい、第4の書板・レバノン山への道行を語る中で、
まる一日で、彼らは50ベールを進んだのだった。
1ヶ月と15日の道のりもわずか3日で、彼らはレバノン山に近づいた
と書かれてるんですよね。1ベールは約10kmらしいので、10km * 50 * 3日 ≒ 1500kmくらい進んだということになるんですが…、いや〜…超人ですね…(参考になるかわからないけど、青森-東京間でも600kmくらいしかないです。青森出身東京在住のオタクより)。
メソポタミアは森がない地域なので、香り高い杉の木はたいへん貴重だったようです(ちなみにエジプトでもそれは同様で、第二王朝の時すでに、レバノン杉の交易港・ビブロスに赴いていたことが分かっています)。遥かな冒険をしてでも手に入れる価値があるモノだったんですね。
なお、ギルガメシュ叙事詩より前に成立していたシュメル語伝承「ギルガメシュとフワワ」では、彼らはレバノンではなく東方の森に向かったと考えられるそうです。が、ギルガメシュ叙事詩として編纂される際に、その位置を西方のレバノン山に変えています。
ここで気になるのがバビロニアのシナリオです(つれっとFGOの話に切り替える)。
「黒い杉の森方面(西方)」に向かうマシュとロマ二の会話にこんなのがあります。
マ:あれはウルクの東、ティグリス河の向こうにあるザグロス山脈にあると解釈されていたような……。
ロ:ああ、それは二種類あるんだよ。シュメル版とアッカド版には食い違いがあってね。古い文献では杉の森は西にもあったとされている。
この会話から、マシュがシュメル語の「ギルガメシュとフワワ」を意識して話していることが分かります。けれど答えるロマニの台詞のせいもあって、この西方の森がフワワの森なのか…つまり、『フェイト世界の「ギルガメッシュ」と「エルキドゥ」が赴いたのが、東のザグロス山脈なのか、西のレバノン山脈だったのか』が分からなくなっています。
「いや細かいこと言うなよ!」って怒られそうですが(ごめんなさい)、もしも、です。
もしも、2人が旅したのが東のザグロス山脈ならば、このシーンの趣がさ、変わるじゃないですか!
カルデアの冒険譚を聴きながら、王が想うもかつての「冒険」…っていう。
そういうよさみがね、あったらいいなと思ったわけでした。
おまけ:なんちゃって7章地図
東とか西とか、ソラで語ってるとわけわからんくなってきますよね。ということで、なんちゃって7章地図をこしらえてみました。せっかくなのでフィールドマップも並べて眺めてみます。
7章に出てくる都市を、google mapさんに雰囲気でプロットしたものなのですが、ホント“雰囲気”なので信頼度5%くらいで見てください…。
北部の都市
物語の冒頭、「エシュヌンナ、シッパル、キシュ、そしてカザル。もはや北部の市は全て我が腹が呑み込んだ」とゴルゴーンが語っているとおり、北部はゴルゴーンの勢力圏になっています。
バビロンは解体されて北壁になったし、クタはエレちゃんがえいや!したので、ゴルゴーン圏内とするのはイマイチですが、とりあえずざくっと線を引いています。
南部の都市
シナリオにも出てきたように、ウル/エリドゥはケツァル・コアトルの勢力下です。シュメル初期王朝の頃の海岸線は現在よりも北西にあったので、海から迫りくるケイオスタイドがより脅威に感じられますね。
ちなみにロマニの台詞に「エリドゥはシュメル神話において、最初に天から王権が降りた都市である」とありますが、多分「シュメル王名表」の話を指していると思います。
中部の都市
3節冒頭、ギルくんと兵士の会話に、「エレシュ市からの物資運搬に遅延が見られる」/「ギルス市の巫女長がほざきおって!」があります。エレシュは北壁の向こう側にある都市なので、もしかしたら人はもう住んでなくて、物資のみをウルクに運んでいたのかもしれません。ギルスはなんか元気そうですね、笑
ニップルは9節でゴルゴーン勢力に落とされてます。また、ラガシュ/ギルス/ウンマは最終局面まで生き残れていたことがダ・ヴィンチちゃんの台詞から解ります。
土地の話をまとめたら疲れたので終わります。第四の書板には、エンキドゥの素晴らしい台詞がいくつもあるので、次回はその辺りまとめたいです。
「オベロン本」と「アヴァロン本」
じゃん。
昨日、「アヴァロン本」が届きまして、この夏のアヴァロンルフェセット(??)が揃いました。わ〜〜!
羽海野先生の「オベロン本」…『黄昏の王国』は、全頁フルカラーのオベロンラフスケッチ集。Twitterでもめちゃくちゃ話題でしたね。装丁のこだわりもすんんんごい本です。印刷は緑陽社さん…納得!
それにしても、7月末のとらのあな予約日はたいへんでしたね。わたしは手術が迫っていたので、「手術後に無事受け取れるといいな…」なんて思いながら、落ちまくるとらのあなと格闘した思い出があります。受け取れてよかった!😭
奈須先生の「アヴァロン本」…『アヴァロン・ル・フェ シノプシス』は、奈須先生のプロット本です。カバー付文庫本で興奮しました…。カバー付文庫本が好きなのでね…。本文には嵩高の紙を使われてます。色々な意見ありますが、これくらいの厚さの本なら、私は嵩高の紙ウェルカムです。柔らかくてあたたかくてだいすき。印刷は新星社西川印刷さんでした。
アヴァロン本は予約が手術明けだったので、病院のベッドの上でとらのあなと格闘する羽目になっていました。当時は硬膜外麻酔バリバリ入れてて、血圧下がって眠くて眠くて、おなかも背中も痛いのにとらのあなは繋がらなくて、あ゛〜〜…ってなってました。リハビリになってたかもしれないです。
取り急ぎどちらもひととおり読みましたが、ちょっとまだ語れないというか、読みが足りてないと思うので、これもゆっくり味わって行こうと思います。何故かいま魂がバビロニアにいるので…。。。
第一部に登場するテスカトリポカ関連のメモ
FGO第一部のバビロニアを読み返していたら、案外、南米やテスカトリポカの話が語られていたので、ナウイ・ミクトランに備えてメモしておきます。
まず南米の神話体系について、イシュタルさんの分かりやすい説明。
あなたたちで言うところのメキシコ、南米の神話体系はまた一段と変わり種なのよ。
あそこの神性はこの惑星(ほし)で生まれたものじゃなくて、空から降ってきたものだと言われているわ。
地表に衝突した小惑星。その惑星についていた“何か”が植物に寄生して、生き延びてーーやがて現地動物を“神”に変化させる微生物となって、あの土地の文明を築き上げた。
ははあ、ギリシアの神々と同じく、宇宙からやって来た神性なんですね。さらに、コアトル姐さんの啖呵も聞いてみますと…
私にはもう第一世代(はくあき)の記憶はありませんが、代を積み重ねた情報種子がこう言うのです!
人間(アナタ)たちを愛している。人間(アナタ)たちと共存したい。この生命種こそ、私たちの生き甲斐だと!
最初に宇宙からやって来たのは、なんと白亜紀の頃なんだって。
Wikipediaさんによると、6568万年前にユカタン半島及びメキシコ湾に隕石が落ちて、白亜紀は終わったのだとか。マテリアルも確認しましたが、この隕石に乗って、彼ら(?)は地球にいらっしゃったようです。そして永い時を経て、人間という生命種を愛するようになったと。
さらに、コアトル姐さんは「代を積み重ね」る方法についても仄めかしてくれていました。
私の前で生贄なんて許しません。拝領はあくまで伝承保菌の際、一度きり、それ以外の生贄の儀式は不要なもの。
生贄の儀式そのものを楽しみにしたテスカトリポカのやり方は、私とは相容れないものです。
生贄の儀式によって「伝承保菌」…つまり、「現地動物を“神”に変化させる微生物」の伝承をしていたように見えます。マテリアルの表現に倣うと「人間に乗り移って」いたということみたい。
また、何かと話題な「テスカトリポカ」の名前をはじめて口にするのは、意外にもジャガーマンでした。
命を捨てる覚悟で挑んでくるなら応える。けどその覚悟ができていない人間は助ける。そんな事だからテスカんに付け入られたのに、ぜんっぜん反省してないんだもの。
のちにロマ二がいい感じに補足もしてくれています。
ジャガーマン、すなわち「ジャガー人間」はしばしば中南米神話に登場する最高神の一柱、テスカトリポカの一側面に関係深いとされる。
で、このテスカトリポカという神様はね、ケツァル・コアトルのライバルなんだ。
善の頂点であるケツァル・コアトルと対をなす、悪の頂点であるテスカトリポカ。神話上、このテスカトリポカにケツァル・コアトルは殺されてさえいる。その結果、ケツァル・コアトルが大切に育てていた文明は滅び去った。
悪の頂点、かあ…。先に引用したセリフの「生贄の儀式そのものを楽しみにした」って話も踏まえると、確かに、テスカトリポカってバーサーカーっぽいかもしれないですね…。
トラオムをクリアした後に、「黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン」って出て来た瞬間、どきどきが止まらんかったのを覚えています。いやあ、12月が楽しみです。